パワエレでよく扱われる降圧チョッパ
インダクタ電流波形が三角波になっているのを見たことがあるかと思います。
なぜ三角波になるか、感覚的にイメージを掴みやすいように解説していきます。
RL 直列回路の過渡現象
その理由の根幹はここにあります。
抵抗とインダクタの直列回路における過渡現象です。
まずは下図を例にイメージを掴みましょう。

回路定数は適当です。
シミュレーション開始後 1msec でスイッチONして抵抗とインダクタに直流電圧を印加します。
この回路で抵抗とインダクタに流れる電流は下図のように1次遅れの波形になります。

結論を言うと、降圧チョッパのインダクタ電流はこの過渡現象の繰り返しです。
スイッチング動作
次はダイオードを追加して降圧チョッパにします。
Duty=0.5 で 100 Hz のスイッチングをしてみます。


約 5msec で収束する1次遅れの電流波形が繰り返されます。
このように 降圧チョッパのインダクタ電流はRL直列回路の過渡現象の繰り返し なのです。
そしてさらに高周波数でスイッチングすると三角波になっていきます。
高周波スイッチング
さらに高周波でスイッチングさせます。
下図は 200Hz です。

下図は 1kHz です。

三角波に近づきました。
この三角波は スイッチの ON/OFF が切り替わった直後の短い期間の過渡現象の繰り返し なのです。
切り替わり直後は傾きがほぼ線形なので、高周波で繰り返すと三角波になるのです。
根本はRL直列回路なので、過渡応答の数式を解くことで降圧チョッパの波形を描くことも可能になります。
逆にスイッチング周波数を下げて降圧チョッパを動かすとどうなるかもイメージがつくと思います。実際には巻線抵抗で数十mΩとかだったりするので、電流ピークはとんでもないことになり回路が壊れてしまいます。
まとめ
本記事では、降圧チョッパのインダクタ電流がなぜ三角波になるのかを、感覚的にイメージを掴めるよう解説をしました。根本にはRL直列回路の過渡現象があり、降圧チョッパで高速スイッチングすることにより過渡現象の最初の短い期間を繰り返して三角波になります。
こういった感覚をもっておくと降圧チョッパ設計の役に立つと思います。